私の仕事

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私の仕事

『いらっしゃいませ』 自動ドアから入って来たその男性は、少し元気がなさそうだった。 思わず「大丈夫ですか?」って、声をかけそうになったけど、グッと我慢した。 『す、すみません…花をプレゼントするのは初めてで…どういう風にお願いしたらいいでしょうか?』 たぶん、40代後半くらいかな? その男性は、申し訳なさそうに言った。 『お花のプレゼントですね。どなたに贈られますか?』 私は、お客様に安心して頂きたくて笑顔で尋ねた。 『あ、あの…つ、妻に…』 『奥様に…それは素敵ですね。お誕生日か何かですか?』 『あ、いえ…実は…少し妻の機嫌を損ねてしまって…なので、妻が1番好きな薔薇の花をプレゼントしたいんですが、花を贈るなんて今まで1度もなかったので、上手く注文出来なくて。本当にお恥ずかしい限りです』 今度は少し照れたように言った。 『いえいえ。奥様のお好きな花なら、きっと喜んで下さいますよ』
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