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自炊は数ヵ月ぶりだ。休日も寝ているだけで簡単に消費してしまう。 料理は元から苦手ではない。ただ、時間と体力がないだけだ。 賢いもので、匂いを嗅ぎつけた一号がキッチンまでやってきてしきりに尻尾を振っていた。 足元でちょろちょろされて踏みつけそうになる。 「ちょっと待ってろ。お前らのために作ってやってるんだから」 びしっと言ってやると、満足げにワンっと一鳴きする。まるで言葉が通じたかのように、そのままリビングへ引き返していった。 「――つっても大したもんは作れねえけどな」 呟きながら、適当に味付けして焼いただけの鮭を出してみる。期待通り、二匹はすぐに寄ってきた。目を輝かせて興味津々だ。 だがすぐには飛びつかない。 俺は感心した。しっかり躾けられているようだ。 二匹は皿から目も逸らさずに、そこでじっと待っていた。ちらと見上げる。 瞳を潤ませてじっと見つめる姿から、必死で我慢していることが伝わってくる。 俺はにやりと唇の端を歪めた。 「食っていいぞ」 その号令を合図に、二匹は皿めがけてとびかかる。すごい勢いで食べ始める様を見ていると、くたくたに疲れているはずなのに自然と笑みが零れていた。 
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