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俺は空席になったソファに身を埋めて目を閉じた。 それにしても、二号はどうやって入ったのだろうか。窓は締めて出ているし、そもそもここはマンションの六階だ。子犬が一匹で迷い込むような場所ではない。 不思議と言えば――ちらとリビングの床へ目をやる。トイレ代わりに置いているタオルは、今まで一度も汚れていない。 それ自体は予想通りだったが、家のどこも汚れていないのだ。ベッドの上やソファも確認したが、粗相している気配はまったくない。 いろいろ引っかかるところはあるが――俺は視線をテーブルへ戻した。 俺のことなど気にも留めずに、一生懸命に食らいつく姿に思わず頬が緩む。 ――まあいいか。かわいいから。
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