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いつからいたのか、毛は泥にまみれて濡れ、手の中で小刻みに震えていた。直接風呂場へ行くと、湯で濡らしたタオルで全身を拭いてやる。擦っていると震えは幾分かましになった。
最初は汚れていたようだが、泥を落とすと黄金のような明るい茶色の毛が露わになる。ドライヤーで乾かすと毛量が多く尻尾までふさふさだ。耳は綺麗な三角形で、体の割に手足が大きい。
大型犬の何かだろうか。
リビングで冷蔵庫にあった牛乳を温めて与えると、必死になって飲み干した。あまりの勢いに思わず笑みが溢れる。
そう言えば、笑うのはいつ以来だろう。あまりに久しぶりの感覚に、頬がぎこちなく歪む。
そんな俺に気づいたように、そいつは顔を上げた。
澄んだ青い瞳と目が合う。
「わんっ」
満面の笑みに一瞬にして骨抜きにされていた。
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