幼馴染

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突然の激痛だった。 お腹が痛くて椅子に座っているのも辛い。脂汗がにじんできた。気がついたら肩で息をしていた。 大丈夫かと、いつも言葉を交わさない隣の荒木が聞いてきた。大丈夫だと答えるが手遅れだった。 「先生、生稲さんが具合悪そうなので、保健室に連れて行ってもいいですか」と荒木が立ち上がっていた。 大丈夫だからと拒否るが、痛みで抵抗できない。私は荒木に抱えられて保健室に行った。 保健室のベッドの上で丸くなって横になる。荒木が保健の先生に詰め寄っている声がする。 「荒木君、生稲さんは何でもないから、あなたは教室に戻りなさい」と先生がベッドのカーテンを引いて荒木を私から離してくれた。 「あいつ、子供の時にも腹痛我慢して、結局盲腸で、病院に担ぎ込まれたんです」 「大丈夫だから」 「あんな青い顔して汗をかいて、先生、病院に連れて行った方がよくないですか」 先生はカーテン越しに私に聞いた。 「生稲さん、言ってもいい」 「…はい」 「生理痛だから」
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