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恐怖幻夜特急 Sentence.1
ガタン、ゴトン。
針葉樹の森の中を走るのは赤色の列車。招待された一部の人間しか乗ることを許されないアズーラ地方最大級の豪華列車は、大陸北部に聳えるエランド山王国に向かっている最中です。
山そのものが一つの国と言う珍しいエランド山王国は大陸全土から観光客が集まります。
エランド山からちなみ付けられた「豪華列車エラビア」は物々しい雰囲気に包まれています。
「メェ!」
豪華な調度品が並ぶラウンジで子山羊が悲鳴を短い上げました。
メラン国王家御用達のベルベットソファーの上に別な仔山羊が横たわっていました。広々としたラウンジのテーブルの上に五人分のカクテルが置かれ、そのソファーの近くにはグラスが転がっています。
似た顔の仔山羊達は顔を真っ青にして立ち尽くしています。
じわり、横たわる子山羊の口から赤い血が染み出てきます。
そうです。殺人事件が起こりました。
容疑者はこのラウンジにいる五人の子山羊達です。首に付けた鈴の色で彼らを判断するしかないほどそっくりです。それはそうですよね。山羊ですから。
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