旅は道連れ、世は情けない Sentence.1

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旅は道連れ、世は情けない Sentence.1

 線路は続くよ~何処までも~♪  陽気な歌が長閑な丘に響き渡ります。歌っているのはロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの四匹の動物達でした。とても楽しそうに丘を歩いています。  朝も昼も夜も、彼らは歌い続けています。  ある時、団長のロバがこう言いました。 「いつか僕は人間になって、舞台の上でお歌を歌いたいんだ!」  彼らは人間ではないため、人間が立つ舞台に立つことは出来ません。しかし歌を歌うことが大好きなロバはその夢を捨てきれませんでした。  それに共感するのはニワトリでした。  ロバやニワトリは元々人に飼われていた家畜でした。仕事のために飼われ、生かされていた二匹は人間に憧れていました。歳も取り、必要なくなった彼らは遂に殺される日が来てしまいました。  最後の日、勇気を出して逃げ出しました。  一方イヌとネコはあまり共感出来ませんでした。元々裕福な家で大事に飼われていたペットでした。豪華な動物用の衣服を着せされ、美味しい食事も与えられ――そして人間の醜い姿も見ました。
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