NoiLu -ノイル- 2

旅は道連れ、世は情けない Sentence.1

　あまりにも醜い姿に嫌気がさして逃げ出しました。
　それぞれ違う理由で逃げ出した四匹はハーゲンの町の外れで偶然出会いました。行く当てもなく、住む場所もなく、途方に暮れていた彼らにとって出会いは衝撃でした。感覚的に初恋に落ちた女性、のようなものです。
　突如ロバは歌い始めました。するとニワトリが合いの手を入れ、ネコとイヌはバックコーラスのように声を上げます。
　まるで歌劇団のような光景でした。
　歌に釣られ、遠くから人々が駆け寄ってきました。楽しそうに歌う彼らを見た人間達は、手を叩き、ステップを踏んで踊り始めたのです。人間も動物も、一緒になって踊る姿にロバやネコ達は、心から「楽しい」と思いました。
　これをきっかけに彼らは、意気投合しました。そしてロバは、

「どうだ。歌を世に広める音楽隊――ブレーメンの音楽隊を結成しないかい？」

　と言いました。
　歌を歌うことが楽しくなった彼らは頷き、いつかはとある街にある巨大な劇場で歌を歌うことを目標にしました。しかし劇場で歌うには有名になる必要がありました。そこで歌を歌いながら、世界を回ることにしました。
　それから数年後。
　彼らは様々な現実と壁にぶち当たってきました。