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最大の壁はやはり、動物です。いくら人間と楽しく歌ったところで結局は動物で終わってしまいます。人間しか立つことの許されない劇場に立つことは永遠に出来ないのです。
時と共に次第に劇場で歌う事を諦めてしまいました。
「僕はどうしても、どうしても諦めきれないんだ」
ロバは言いました。
悲しいことにそんな願いなんて叶うことはないのです。無慈悲な現実に同情するように空から雪が降ってきました。
しんしん。
ロバはゆっくりと地面に身体を横たわらせ、目を閉じました。人間になり、憧れの劇場で歌を歌う自分の姿を思い浮かべました。
三匹は顔を地面に向け、何も言いませんでした。
雪が身体に降り積もります。
📯 📯 📯 📯
断崖絶壁が左右に立ち塞がり、間の細い道だけが何処までも続いています。
イヌとネコとニワトリはトボトボとその道を歩いていました。あのブレーメンの音楽隊ですが、ロバの姿はありませんでした。
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