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あの雪の日、一番年長のロバが死にました。
それからと言うもの彼らに生きている実感がなくなってしまいました。四人揃うからこそどんな道もどんな苦痛も、乗り越えられてきたのです。時には四人でいることが苦痛に感じることがあったのですが、こうして誰かを失った時に初めて四人の大切さを知りました。
イヌはボソッと呟きます。
「団長が、団長が生きていれば――」
「あんたいつまで引き摺っているの? いい加減吹っ切れたら? これだから雄は」
「ネコこそ失礼じゃないか! 団長のお陰で僕達はここまで来ることが出来たんだ」
未だにロバが亡くなったことをイヌは引き摺っていました。それを不愉快と思ったネコは不満をぶちまけました。
一方イヌはロバが死んだ次の日からネコの態度が気に入らなくなりました。
何事もなかったような態度を向けるネコはロバの死を悼んでいない、とイヌは思っていました。以前から言おうと思っていたのですが、仲間とあり中々言い出せずにいませんでした。
ネコは尾を立て「ふん!」と鼻を鳴らし、先を歩いて行きます。
そしてイヌの方は歯を剥き出し、威嚇しています。
二匹の後姿を見てニワトリは大きなため息を吐きました。背には大きなカバンを背負っています。
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