旅は道連れ、世は情けない Sentence.1

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 このままでは内部分裂でバラバラになってしまうと考えたニワトリはどうにかしなければ、と焦っていました。ネコの言い分もイヌの言い分もどちらも正しく、いつまでも引き摺っているのもロバが悲しんでしまうと思っています。  頭を抱えるようにニワトリは唸り声を上げました。  あれ以来彼らは歌うことをやめました。イヌは歌えばロバの死に泣き始め、ネコは素っ気ない態度で「あたし、歌嫌いなの」と言い、再び喧嘩を始めてしまいます。  重苦しい気配が漂う中――小さな村に辿り着きました。  谷間を抜け、目の前に川と橋が飛び込んできました。その先に村があるのですが、彼らは入ることなく橋の手前で座りました。ロバが生きていた時から彼らは決して村の中に入ろうとはしません。  前に村に入った際に、追い出された経験があるためそれ以来入ることをしなくなりました。友好的な村もあるのですが、それでも入ろうとはしません。  いつものように外で三匹は横一列に座りました。 「……もう限界よ。お腹空いたわ」  ネコはそう言って立ち上がり、橋の方へと歩いて行きます。
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