恐怖幻夜特急 Sentence.1

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 このデ——おっと失礼。ふくよかなマダムはメラン王国の貴族ステファニー=フォン=ヒルメスと言う、正真正銘のお金持ちです。エランド山王国でしか手に入らないエラ・ルビーの指輪を買うために、遠路はるばる向かっているのです。  事件当時はラウンジの隣にある食堂で食事をしていたらしいです。因みに目撃証言として二人のシェフが当時、彼女に料理を運んでいました。  まず爽やかなシェフ——メディチ・リディンは、 「ステファニー様から本日の料理について説明を求められていましたので、食堂にいました」  もう一人の女性のシェフ——ケニス・ニーチャは頷き、 「私は上の調理場にいました。もし、私が犯人なら降りて隣のラウンジに行くのを二人が見ているはずです」  食堂だけは二階建てとなり、上が調理場となり料理を運ぶ際は降りてくる。ケニスが下に降りて犯行に及ぼうとすれば、下の二人が見ている。また下の二人のどちらが犯行を行おうとしても、バレてしまう。  つまり、三人は犯人の可能性は低い。  次に手を上げたのは、車内販売のお姉さん達である。
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