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隣に好きな人がいる目覚めは、なんて幸せなんだろう。
噛み締めるより先に、唇が勝手に司の額に吸い寄せられていた。
「んぅ……? あさ?」
「ん……ごめん、起こした?」
「……おきる?」
「ん~……どうしよっか」
寝起きのふにゃふにゃの顔と声。小さい子供みたいに目を擦って欠伸をして。しょぼしょぼの目でオレを捉えて、ふしゃっと笑う。
「……おはよぉ、そぉま」
「……おはよ、司」
カーテンの隙間から漏れる光は、今日もいい天気なことを知らせてくれる。
「今日もいい天気だよ、司」
「……ん……」
ほやんとした顔付きのままで律儀に窓の方を向いて、そうだねと頷く。
──こんな風な毎日を、重ねていきたいと強く思う。
勿論、喧嘩をすることだってあるだろうし、いいことばかりじゃないだろうことも分かっているつもりだ。
今までに喧嘩らしい喧嘩をしたこともない分、難しいことも多いかもしれない。
それでも、面倒臭そうなことも全部含めて、一緒にいたいと思っている。
「朝ごはん何がいい?」
「……ぅん……。……ぱん?」
「オッケ。じゃあトーストにしよっか。……卵残ってるし、目玉焼きでものっける?」
「……おいしそうだね」
ようやく会話らしくなってきた司の頭を一撫でして先にベッドを降りる。
「よし。じゃあ朝ごはんにしよう」
「いっしょにじゅんびする」
寝癖の残る髪で、むくりと起き上がって。舌足らずに健気なこと言ってぽやぽやと笑った司に笑い返した。
「うん。一緒に準備して、一緒に食べよう」
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