水槽の中にいるアイツ

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水槽の中にいるアイツ

ピチャピチャ 『ん?どうしたの?』 水槽で飼っているカエルの次郎(オス)は、随分人懐っこい気がする。 俺を見かけると、水音を鳴らして近づいてくる。 『あっ髪の毛セットするの忘れてた!』 俺は慌てて髪の毛をセットしに洗面所へ行った。 なんか、次郎を見てたら忘れかけてた用事を思い出す事が多い。不思議なこともあるんだな。 ピチャチャッピチャ 『今日は遅くなるかも。なるべく、早く帰ってくるから。』 ピチャチャチャッピチャピチャ 俺は、家を出て会社に向かった。 今日は早く仕事を切り上げてアイツの大好物を買いに行こう。 俺は、今日一日のスケジュールをこなして行った。 仕事をしていると時間の感覚が早く感じる。 外が夜になる頃に退社したが、思ってたより早く帰れた。 アイツの好きなワームを買って足早に帰った。 『ただいまー。』 ビチャビチャッビチャチャチャチャチャッ バシャァッ 熱烈歓迎な次郎を見て思わず口角があがる。 『今、夕飯用意するからな。』 ピチャピチャッ ピンセットで摘んだワームを、アイツの前に出した。 すると、次郎は目にも止まらぬ早さでコオロギを口の中に頬張った。 カエルって表情が分かりにくいのに、嬉しそうに見えてしまうのは俺だけかな? バシャバシャバシャッバァシャッ おかわりが欲しいのか水音を激しくしている。 余程、美味しかったんだろうな。 小さくて平べったいカエルだけど、なんか可愛いんだよな。 小さくて可愛いらしい、俺の自慢の相棒。
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