100人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「人事とは思えない言い方だけど」
『そうなんです。聞いてもらえます?』
スケッチブックのページをめくって、いつもより細かい字を並べ始める。
手紙のような字が書かれるのを、僕はなにも言わずに見つめた。
しばらくして渡された紙の内容はこうだ。
『高校に入る前から、学校ではよく仲間外れにされていました。
こうやってコミュニケーションも取れるのに、私がしゃべれないってだけで。
皆は特に意識してやってないのかもしれないですけど、自分達と違う人を廃除する本能みたいなものなんですかね?ずっと友達も少なくて。
だからせんぱいの気持ち、少しだけ分かるような気がします』
僕はただ紙に視線を落として、黙っていることしか事しか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!