ランチタイムを共に。

3/13
100人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
いつもと変わらない平穏な日だったはずが、そんな不確定な思い込みはやっぱり一瞬で崩れてしまうに決まっている。 教室のドアを開けて、微笑みながらスケッチブックを抱え手を振る少女。 まりあは僕の手首を思い切り握ると、メロンパンに執着するのもお構いなしに教室を出た。 今まで友達とも昼食を食べていなかった僕が可愛い女の子に引きずられて行くとは、クラスメートの視線が痛いんだけど。 それに、購買のメロンパンは毎日一瞬で売り切れてしまうプレミア付きの絶品なんだ。 「なんの冗談だよ」 僕が怒っているのに、まりあはやはり笑顔を崩さない。 『せんぱいとご飯食べたいなぁというただの思い付きです。冗談でも罰ゲームでもありませんよ』 見ると、まりあはお弁当をしっかり二つ持っている。 作って来たなら……食べざるを得ないじゃないか。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!