ランチタイムを共に。

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 はぁ……  学校の屋上で、僕は大袈裟にため息をついた。 こんな時は、元気に僕のつむじを温めている太陽にさえ八つ当たりをしたい気分になる。 二つ並んだ手づくりのお弁当。 向かい合う男女。 僕だって、そんな夢を見見たことがあるかと問われればイエスと答える、が…… 食事とは何を食べたかより、誰と食べたかの方が重要であるとは真実であるようだった。 『なんかこういうのいいですね。屋上でお弁当なんて。でもせんぱい、どうして元気ないんです?』 「僕のエネルギーの大半をお前に吸い取られてるような気がしてならない」 まりあのお弁当は美味かった。 だが、僕の鬱々な気分は一向に治る気配を見せない。 『わかりました、すみませんね。じゃあ話を変えましょう』 「投げやりだなあ」 スケッチブックの角で頭を殴られたが、そんな事にのってやるほどの親切心も気力もない。 『じゃあ、せんぱいのマシンの使い道でも聞きましょうか』 まりあは器用に左手でペンを握り、右手で箸を使っている。 両利きとは便利だなぁなんて思いながら、僕はまりあの書く言葉を見るともなく見た。
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