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ぼんやりとした表情で屋上のコンクリートの床をじっと見続けるまりあを見ながら思う。
僕の物理好きを「個性」と言ったのはまりあだけ。
おそらく、後にも先にも、だ。
まりあは僕の変わった性格を受け入れてくれていたのだろう。
肯定的にしろ否定的にしろ、そうでなければ「個性」とは言わず、「特殊」と言うのだろう。
いつも楽しそうに笑っている少女。
もしかしてまりあは、ずっと自分が喋られないことを受け入れてくれる人を待っていたのではないか。
何も気付いてやれなかった自分の愚かさに呆れてしまう。
この日、まりあは初めて物理教室に行くのを休んだ。
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