ランチタイムを共に。

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「で、何があったか教えろよな」 作業を終えて教室を出た途端に、光希はもうこの話題を切り出した。 「あたしも聞きたい!まりあはみんなの仲間だからさ、心配だよ」 菖子さんまで。 全く、語るのを躊躇うデリケートな心を読んではくれないんだな。 「今日、まりあが僕のクラスに来たんです。一緒にお弁当食べましょう、って」 無理に思い出す必要もなく、口は思いのほか滑らかに動き、文章を紡ぎだす。 屋上での会話、マシンの使い道、そしてあの寂しそうな表情。 今日の作業の内容さえほとんど記憶していないのに、信じられないほど鮮明に情景が浮かんでくる。 まりあの言葉の一つ一つは、あまりに強烈な印象をもっていたようだ。
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