100人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、何があったか教えろよな」
作業を終えて教室を出た途端に、光希はもうこの話題を切り出した。
「あたしも聞きたい!まりあはみんなの仲間だからさ、心配だよ」
菖子さんまで。
全く、語るのを躊躇うデリケートな心を読んではくれないんだな。
「今日、まりあが僕のクラスに来たんです。一緒にお弁当食べましょう、って」
無理に思い出す必要もなく、口は思いのほか滑らかに動き、文章を紡ぎだす。
屋上での会話、マシンの使い道、そしてあの寂しそうな表情。
今日の作業の内容さえほとんど記憶していないのに、信じられないほど鮮明に情景が浮かんでくる。
まりあの言葉の一つ一つは、あまりに強烈な印象をもっていたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!