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もやもやした気分のまま迎えた翌日。
三時限目の後、僕の教室に光希が来た。
光希は、僕が長時間誰かと居るのを好まないと知っているから滅多にクラスに来ない。
来るとしたらそれは用事がある時だけである。
「どうした?」
いつも通り、なにか用なのだろうと思った僕は聞いた。
「いや……元気か、吉明」
「まぁ、元気だけど」
「あぁそうか……いつも元気でなにより、だな」
ぎこちない会話。これは絶対に何かある。
「……要件は?」
本題を早く話してもらわないとね。
ダラダラ無駄話をしていても意味がないだろう。
「いやぁ・・・あのな、俺は絶対姉貴の肩なんて持たないからな?お前もそれは解ってるよな?な?」
念を押す。ひたすら押している。
「だから、何なの?」
再び聞き直すと、光希にしてはめずらしく赤面して、もごもごと用件を話しはじめた
「昨日の話で姉ちゃんが言ってたろ、まりあと話せ、って。姉ちゃんのアドバイスってな、結構正しいんだ。今まで言う事聞かないで俺、何回も後悔してきてるから。だからお前には、姉貴の言う事聞いてほしい!今日の昼休み、まりあと弁当食ってさ、仲直りしてくれよ。頼む!」
終いには深々と僕に向かって礼をしてしまった。クラス全員の視線がこちらに向く。
「やめろよ。光希に言われなくても、そうするつもりだったし」
僕は小さな嘘をついた。
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