55人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから雨は降り続いている。
かすかに聞こえる雨音は、妙に落ち着く。
彼がワインの支度をしてくれている間に、部屋を見渡す。
部屋の内装は昔とほとんど変わっていなかった。この3年間、彼はいったいどのように過ごしていたのだろう。
「おまたせ。つまみは雨の音だけだ。」
「まあ、オシャレだこと。」
楽しい。ほんとに昔を思い出す。私には珍しいほど、話したい事がたくさん浮かんでくる。
トクトクトク...
開けたてのワインを注ぐときの心地の良い独特な音。
「再会に乾杯。」
「乾杯!」
口に広がる香り、フルーティーで実に優しい口当たりだった。
最初のコメントを投稿しよう!