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あれから雨は降り続いている。 かすかに聞こえる雨音は、妙に落ち着く。 彼がワインの支度をしてくれている間に、部屋を見渡す。 部屋の内装は昔とほとんど変わっていなかった。この3年間、彼はいったいどのように過ごしていたのだろう。 「おまたせ。つまみは雨の音だけだ。」 「まあ、オシャレだこと。」 楽しい。ほんとに昔を思い出す。私には珍しいほど、話したい事がたくさん浮かんでくる。 トクトクトク... 開けたてのワインを注ぐときの心地の良い独特な音。 「再会に乾杯。」 「乾杯!」 口に広がる香り、フルーティーで実に優しい口当たりだった。
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