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ふと目が合った。
目が合っただけなのに照れ笑いをする2人は、まるで付き合いたての恋人みたいだった。
「昔と変わらないな、その微笑みかけるような口元。その優しい口元が好きだったんだ。」
「なによ急に。あなたがそんなこと言うなんて。」
「3年前、最後にお前がこの部屋から出て行った時、なに一つ気の利いた言葉が言えなかったんだ。ずっと心残りだった。辛いのは俺だけじゃなかったはずなのに。お前は、強いな。尊敬するよ。」
「ううん、ちゃんと伝わってたよ。あなたは無口だから勘違いされることも多いかもしれないけど。あの日もあなたに背中を押されて部屋を出て行ったんだよ。」
「そうか、ありがとう。」
会話が止まれば、雨の音だけが聞こえる。
まるでこの部屋だけ、時間がゆっくり流れているようだった。
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