契約

3/3
前へ
/4ページ
次へ
千景「ちょっと! 何勝手に読んでるのよ!」 玲央「んー…これ? そこにあった漫画。 ええと…雪の瞳のシルエット…だって」 千景「私の愛読書!」 玲央「これ、典型的でベタな少女漫画だな。 こんな恋愛に憧れてるわけ?」 千景「ち…違っ!」 玲央「よし、決まった」 千景「な…何が?」 玲央「お前が俺に差し出す物」 千景「何…」 玲央「お前の恋心。 俺がお前の最初の男になってやるよ」 千景「え…!?」 玲央「あ、嫌か。 じゃあまた考えればー?」 玲央はそう言い残して再び漫画に目を向けた。 千景「…いいわよ」 玲央「んー?」 千景「私、貴方と契約するわ。 私の恋心…貴方に差し出してあげるわ。 でも私と貴方はついさっき会ったばかりよ。 そう簡単に落ちないんだからね! この私の願い…叶えさせてあげる!」 千景の強気な態度に再びニヤリとする玲央。 玲央「いいねぇ…その攻撃的な目付き。 (内心:てか震えてるじゃねえの…そそるわ。) よし、決まりだな…契約成立だ。 さて、契約の儀式に移る。 そこに立って目を閉じな」 玲央の言われるがままにベッドからおりて玲央の前に立つ千景。 ぎゅっと目を閉じた。 玲央はふう…と一息つくと額にそっと口づけた。 千景の体が淡い光に包まれる。 千景「(内心:何…!? 体がほんのりと暖かい…)」 玲央「(内心:やべぇ…こんな事までしなくてよかったんだが…つい)」 千景の額から口を離し思わず千景の体を軽くハグする玲央。 玲央「(内心:もう少し…このままでいいかな…なんて)」 千景「(内心:なんか抱かれてない? これも儀式のうちなのかな)」 玲央「(内心:千景も勘違いしてるし、いっか)」 するすると玲央の手が千景の尻に伸びた。 千景「てゆうかどこ触っているのよー!」 千景は玲央を突き飛ばした。 玲央は仰向けに倒れる。 玲央「いてぇ!」 千景「だって貴方…私のお尻…触ったでしょ!?」 玲央「すまん…つい…うお!?」 謝ろうとした玲央の目先にマジックハンドが伸びた。 千景「私に手を出したらどうなるか…思い知ることね!」 玲央「す…すみません…それ早くしまって」 千景「ふん…」 鼻を鳴らしながら千景はマジックハンドを下ろした。 千景「それはそうと…さっきので儀式は終わったのよね」 玲央「あ、ああ。まあな」 千景「じゃあ早速だけど、家から連れ出してくれる?」 玲央「いやいや今日のところはやめておこうぜ。 もう、遅いしな」 千景「えー…わかったわよ。 じゃあ明日ね」 玲央「ん。じゃ、おやすみー」 玲央はそう言い残して姿を消した。 千景「何なのよ、全く」 千景は怪訝な顔をするのだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加