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「千流良、こんなとこにいたのか」
「政宗さん、どうかされたんですか?」
「お前を探してたんだ」
「私をですか?」
政宗さんが私に用ってなんだろう?
政宗さんは口角を上げると、風と一緒に政宗さんの声が聞こえ、私は政宗さんの言葉が聞こえた瞬間言葉を失ってしまった。
「あの、もう一度よろしいですか?」
「なんだ聞こえなかったのか?好きだって言ったんだ」
私は訳がわからなくなり首を傾げることしかできなかった。
「わかってねぇって顔だな、ならなんで俺がお前を好きになったか教えてやるよ。俺はお前に気づかされたんだ、父上を殺したのは自分だと今まで責め続けてきた、自分の決断が父上を殺したのだと」
政宗さんはそのときのことを思い出したのかとても辛そうな表情を浮かべている。
政宗さんは今まで自分を責め続け、父親が殺された日、敵の大将の刀が政宗さんの右目を傷つけ、政宗さんはそのときの怪我で右目を失うことになった。
そして、その失った右目は自分が父親を殺した罰なんだと自分を戒めた。
きっと今までずっと政宗さんは苦しんできたはずだ。
「お前が俺に教えてくれたんだ、俺がしたことは間違ってないんだってな。それで思い出したんだ、死ぬ間際に言った父上の言葉を、奥州を頼んだぞってな。俺は父上が最後に残してくれた言葉を守れずにいるところだった。それに気付けたのはお前のお陰だ」
「私はなにもしてないですよ。お父様の言葉を思い出し、これから生きて奥州を、国を守ると決めたのは政宗さんなんですから!」
そう、私はなにもしていない、凄いのは政宗さんだ、苦しい思いを一人で背負って今まで生きてきたのだから。
「決めたのは俺でも気づかせてくれたのはお前だ。最初から気になっていたが、更にお前のことが気になりだし、これが恋なんだと気づいた。返事はいくらでも待つ」
口角を上げ私に笑みを向けると、政宗さんはその場から立ち去ってしまった。
三成さんに続いて政宗さんにまで告白をされるなんて……。
これ以上人と会わないように、私は急いで自室へと向かった。
何とか廊下では人と会わず、無事自室へとついた。
これで私は信長様を除いた武将の皆から告白をされたことになる。
信長様は無いとは思うけど、一応今日は部屋にいた方のが安全な気がする。
襖に手をかけ中へと入ると、何故か畳の上に信長様が座っているのが目に入った。
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