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「俺はあの時、信玄が言った言葉に怒りが込み上げた。貴様を信玄に渡してやるものかと……」
私を抱き締める腕に力が入り、少し痛みを感じる。
私を渡したくなくて怒ってくれていたのだとしり、私の心がポカポカと温かくなるのを感じる。
「信長様は信玄さんを生かしてくれました。それは、すでに信長様の心に人への愛があるからなんですよ」
「愛、だと?人を思う気持ちなら、貴様を目の前にすると鼓動が高鳴るのは何故だ」
「これは恋ですね!って、え?」
普通に答えてしまったけど、今信長様私を前にするとって……。
「まさかこの俺に、愛だけでなく恋まで教えるとはな」
「っ……!?」
「今日から貴様は俺の妻となれ」
「ちょっと待ってください!!私は返事をしていないんですけど!?」
他の皆に続き信長様からも告白をされてしまったわけだけど、他の皆みたいに返事を待つどころかいきなり妻になれと言われ、慌てて言葉を発した。
さすが信長様と言うべきか、告白されたことにも驚いたけど、返事も聞かずに妻になるところまで話が進んでいるのが驚きだ。
「貴様の返事など聞かずともわかる、勿論俺の妻になることを受け入れるのであろう」
いったいこの自信はどこから来るのだろう。
でも、返事と言っても適当な返事はできないし、他の皆への返事も考えなければいけない。
「すみません。すぐにはお返事することが出来ないので御待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
「まぁいいだろう、貴様の返事を待ってやろう。そして、貴様は俺に愛を教えることができた、約束だからな、願いを1つ何でも叶えてやる。願いが決まったら俺の元へ来い」
それだけ言うと信長様は部屋から出ていってしまった。
一度に告白を受け、頭が一杯で今はなにも考えられない……。
私は窓を開けると窓際へと座り風にあたる。
「何だか大変なことになっちゃったみたいだね」
突然現れた刻を気にする余裕もなく、私は1つ溜め息をついた。
「私は皆に愛を知ってもらうはずだったのに、告白なんて…」
「君は皆に愛を教えたじゃないか!愛というのは恋から生まれやすいからね。君への想いが皆の心にあった愛を育てたんだよ」
私への想いが……。
そうだよね、皆私に気持ちを伝えてくれたんだから、私も自分の心に正直でいればいいんだ。
今はまだ答えはでないけど、自分の答えが出たら皆にちゃんと伝えよう。
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