第九幕「愛と想い」

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「どうやらスッキリしたみたいだね」 「うん!でも、皆に愛を知ってもらえたけど、これでこの世界は元あるべき世界になるの?」 「ならないよ」 「え?どう言うこと?」 「戦国時代には、他にも重要な武将がいるからね、その武将達にも愛を知ってもらう必要がある」 私は今までここにいる武将達に愛を知ってもらえれば未来を救えるのだと思っていた。 でもそれは間違いで、私にはまだ愛を教えるべき武将がいる。 「その武将って誰なの?」 「甲斐の虎、武田信玄に、その家臣の真田幸村、そして越後の龍、上杉謙信に家臣の直江兼続だよ」 信長様達のように、歴史に詳しくない私でも名前くらいは知ってる武将ばかりだ。 それに、その中にはこの前戦をしたばかりの武田信玄もいる。 やっぱりあの人も、愛を知らない者の一人なんだ…。 今は告白の返事を考えている時じゃないのかもしれない。 「今その4人の武将は、甲斐にある武田信玄の城に集まっているんだ」 「何故?」 「織田信長を討つためだよ」 「っ…!」 それって、私があの時信玄さんを助けたから…。 今は落ち込んでる場合じゃない、もし私が助けたことで再び信長様が狙われているなら私が何とかしないと。 「正直不安はあるけど頑張ってみるよ!」 「信長達にも教えられた君なら、きっと信玄達にも愛を知ってもらうことができるよ」 再び刻が姿を消すと、私は立ち上がり信長様の部屋へと向かった。 信長様達にだって愛を知ってもらえた、きっと信玄さん達だってわかってくれるはずだ。 あの時の信玄さんの瞳は、最初に出会った頃の信長様達と同じ冷たい瞳をしていた。 あんな瞳をさせないためにも、私は信玄さん達と会う必要がある。 私は信長様の部屋へと入ると、畳の上へと座った。 「願いでも決まったのか?」 「はい」 「申してみよ」 「武田信玄さん、上杉謙信さんとも同盟を結んでください!それが私の願いです」 流石の信長様も驚いたのか、少しの沈黙のあと大きな笑い声が部屋に響き渡った。 「やはり貴様はおかしな女だ!それが願いだというなら叶えてやるが、信玄に謙信が同盟を結ぶとは思えん」 「はい。なので私は信玄さん達にお会いしたいんです」 信長様の言う通り、簡単に同盟は結んでくれないと思う。 だから私は決めた、私が信玄さん、謙信さんにお会いして同盟を結んでもらえるように頼もうと。
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