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私はただ、眺めていた。
彼女が傷ついていくのを。
傷を舐め合うのは、何だか違う気がした。
助けたいわけでもなかった。
連れ出して自由にしてあげたいとも。
彼女も同じだった。
私を見て辛そうな顔をしても、私を助けようとはしなかった。
私たちはどこか似ていた。
自分が傷つかない方法を、
私が彼女を傷つけない方法を、
やり場のない感情を閉じ込める方法を、
私たちは探していた。
私たちは、わかっていた。
だから簡単に諦めた。
逃げ出すこと、泣くこと、出会ってしまったことを。
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