16人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
こんな調子でしたから、お姫様はだんだんと、皆に疎まれ、避けられるようになっていきました。
お姫様は、なぜ自分が嫌われるのかわかりませんでした。
ですから、賢い魔法使いに相談しました。
それは、お姫様に「いつも笑っていられるよう」魔法をかけた魔法使いでした。
魔法使いは、お姫様がみんなに嫌われるのは、自分のせいだと思いました。
そして、人には悲しみや苦しみがあることを説明し、そんなときには、みんなの前で笑ってはいけない、と諭しました。
「まあ。そうだったの」
賢いお姫様は、自分が悲しみや苦しみを理解できず、皆を傷つけていたことを悟りました。
けれどもやっぱり、本当には、悲しみや苦しみを感じることができなかったのです。
「私はこのまま、誰にも共感できずに、一生を過ごすのだわ」
そう思ったとき、初めてお姫様の目から、涙がこぼれました。
最初のコメントを投稿しよう!