家業

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家業

願えば叶うと信じていた未来 私はまだ子供のうちに 願ってはいけないと 知ってしまった 。 重厚なドレープカーテンの僅かな隙間から射し込んでくる光を捉えた瞳の焦点が合ってくると どこか子守唄的に聴いていた電子音が耳の中を支配した 「・・・・・・チッ」 無意識に反応した舌打ち 奥歯を噛み締めて電子音を鳴らし続ける冷たい端末を手探りで見つけた 「・・・もしもし」 (マナ) 「チッ」 相手を確認せずに親指をスライドさせたことを後悔した
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