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「愛、なんでだ!」
テーブルに両手をついて立ち上がった颯は怒りに震えている
「颯も天井さんも一平のだから」
「は?」
「一平のところへ帰って」
「・・・愛様」
「もう二度と此処へは来ないこと」
「は?そんなこと通る訳ねぇ!」
「いい?これは決定した通達
分かる??異論は認めないから」
龍神会の情報参謀として二ノ組を襲名した私の言葉に逆らえる者は大澤碧斗以外居ない
「天井さんの料理とても好きだった
ありがとう」
「そ、んな・・・愛様」
彫刻のような彫りの深い顔が歪んでいる
「二人の猶予は今週末まで」
それだけ伝えると
納得いかない目をした颯を無視して
自分の部屋へと上がった
父に依頼したから
要塞に関わる護衛もバトラーも
今週末には全て引き上げることになる
「一人ぽっち」
自虐的に笑ってみる
「とりあえずご飯どうしよう」
考えても答えなんて出るはずもなくて
コンビニ通いをする自分を想像してみる
本当は橙美さんにお願いするのが一番だとは思うけれど
橙美さんと普段通りのお喋りが出来そうになくて諦めた
だからと言って母にお願いも出来ない
「味方なんて誰も居ないじゃん」
自分で手放したクセに
誰に聞かせる訳でもない愚痴を零しながら
仕事部屋のベッドで眠りについた
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