家業

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焦点の曖昧な瞳が捉えた 携帯の画面に映し出されたデジタル表示は AM 5:13 ・・・2時間しか眠れなかった 最近はずっとこんな感じで 急に入る依頼の電話に苛々している だからと言って断れないことは充分理解しているから 少々の八つ当たりくらい我慢して欲しい ハァとため息を足元に落としシャワーを浴びる為に立ち上がった 。 田嶋愛(たじまあい)17歳 西の街を仕切る 龍神会 ニノ組 田嶋組 組長の田嶋秀平(たじましゅうへい)を父に持つ 星蘭高校の2年生 兄は 龍神会 一ノ組 大澤組 若頭 大澤碧斗の右腕 田嶋一平(たじまいっぺい)29歳 参謀である田嶋組は龍神会きっての情報屋 表裏どちらの世界にも独自の目を配置し この街に入るモノ全て・・・ 蟻一匹の情報まで最も容易く手に入れる 表向きの稼業は企業向けのセキュリティシステムを開発販売している さっきの不愉快な電話は兄の一平からだった 兄と私は異母兄妹 兄の母は兄が3歳の頃に亡くなったらしい 12歳の年の差はそういうこと 私の母親は表の稼業で父の秘書だったらしい 結婚してからは父を支える為か スッカリ家に入ってしまい 田嶋組を切り盛りする良い姐さんをしている 龍神会に身を置く兄と違って ニノ組の仕事は陰 裏の家業、田嶋組の組長であり 表の稼業で社長を務める父は 小学生の頃から娘の私に陰としての仕事を叩き込んだ おかげで・・・? 高校2年になった今 龍神会に関わる依頼は全て私一人で受けている
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