6人が本棚に入れています
本棚に追加
するとそのときです。
ぽたん、と一滴の甘露のような雨粒が、みーくんの身体に落とされました。
いいえそれは甘露でも雨粒でもありません。あの麦わらの乙女の涙だったのです。真珠のごとく煌めく涙がみーくんの身体の隅々まで染み渡り、やがてみーくんはたくましい人間の男にその姿を変じました。
「ありがとう、お嬢さん。あなたの清い涙のおかげで、ぼくの悪い魔法が解けて、こうして元の姿に戻ることができました。お礼にあなたを妻に迎えましょう。ぼくは人間の世界では石油王でした。石油を掘って大儲けしていたら、貧乏人どもに呪いをかけられて、そんなに掘るのが好きならみみずにでもなってしまえとこの姿にされてしまったのです」
「まあ、なんてことでしょう!」
驚く乙女の手の甲に口づけて、みーくんは跪きます。乙女は恥じらいながら頬をそめて、涙にうるんだ瞳でこっくりと一つうなずきました……。
最初のコメントを投稿しよう!