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とぼとぼと飼い主についてゆきながら、サトリはチラチラとさっき捨てたみみずを名残惜しそうに見ています。
「悟りに涅槃……」
乙女は死んだような目で犬たちとおばさんを見送り、やがてまたどこかへ向かって歩きはじめました。
ぐんぐんと気温の上がってゆく夏の公園には、耳がとろけてしまうかと思うほどの甘美な音色が響き渡ります。きっと極楽でだって、こんなに素晴らしい独唱は聴かれないに違いありません。
みーんみんみん、みーんみんみん。
公園はちょうど正午なのでございましょう。
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