みーくんと乙女の涙

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 ところで私がなぜこの話をしたかと申しますと、私もまた「みーくん」と呼ばれておるからでございまして。無論みみずのみーくんではございません。ミンミン蝉のみーくんと申します。  さて、そこなお嬢さん、私と宝物(ホンモノ)の恋、しませんか? いのち短し、恋せよ乙女。何を隠そう私も前世は石油王でしてね。いやいや嘘じゃありません、あっ、嘘じゃないんだって、あああ……行っちゃった。  ええい、仕方ない、もう一度最初から。寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。夏の間にゃ鳴かにゃソンソン。どちらさまもちょいとお足を止めて、私めの話をお聞きください。決して損はさせませぬ。そこな社長さん、そこな子ども。そして何より蝉のお嬢さん! 特に美形蝉のお嬢さん! 夏が終わる前に、私の話を聞いてくださーい、みーんみんみん。みーんみんみん……。
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