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1度目の告白は散々な結果で終わった。
今から半年前、僕は好きな子にラブレターを送った。
今時ラブレター?なんて笑われるかもしれないけど、
面と向かって伝える勇気なんてなかった。
隣の席になれたのが嬉しくて、声をかけられただけで胸が熱くなる僕が直接そんな事を伝えたらどうなってしまうのか自分の事なのに想像も出来なかった。
付き合えますように...
なんて神様に祈ったって結果は変わらない、
でもそう分かっていても頼らずにはいられない。
落ち着く事の忘れた心臓がドクンドクンと不安で一杯の僕の心を煽ってくる。
それでも勇気を振り絞って、
何度も書き直して完成させた手紙を好きな子の下駄箱に入れた。
結果次の日にクラス全員にラブレターは公開された。
好きな子の連れ達が手紙を黒板に張り出したのだ、
なんて悪魔だ。
とはいえみんなの笑い者にしたかったからではなく、
単純に僕が名前を書き忘れたので誰宛からか探す為だった。
強引すぎる方法だとは思ったけどそもそも自分が書き忘れなければ良かったのだから何も言えない。
やらかしたと肩を落としていると彼女達は僕の元にも聞きに来た、そこで自分ですなんて答えればそれこそ公開告白になってしまう。
何ともいえない気持ちを抱きながら僕もみんなと同じように笑いながら「違うよ」と答えてやり過ごした。
誰も僕が送ったとは思わないだろう、現に彼女達もクラスの中心人物達にはしつこく問いただしているみたいだし。
周りの友達も誰が出したのか気になってるみたいで予想をたてては笑っていた。僕はその会話に混ざらず顔を伏せてこの時間をやり過ごす。
当然ながら誰も名乗りでずこの件はうやむやになって時間の流れと共にみんなの記憶から薄れていった。
だったらこのまま無かった事にしてしまえば良い。
僕だって名乗り出なければきっと分からない、そう考えてラブレターとこの気持ちを隠す事にした。
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