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「なんで天兄が!?」
僕がそう叫ぶと天兄はにこ、と笑い、口を開く。
「実は、俺ここの理事長の秘書なんだ。藤華にはビックリさせたくて、秘密にしてたんだ。·····怒った?」
少し不安そうな顔をして聞いてくる天兄。
「天兄」
そう名前を読んで近づくと天兄は体をビクッとさせる。
僕はビックリしたけど、怒ってはいない。だって
「怒ってないよ。だって嬉しいから。どういう形であろうと天兄と過ごせる時間が増えるもん」
僕は天兄に抱きついて、顔をあげ、目をしっかり見て、微笑んで言う。そうすると天兄は、両手で顔を覆い、「うちの子天使!!」と天を仰いで言った。
どうしたんだろう?天兄。
僕は不思議に思い、天兄から離れ、首を傾げる。すると理事長席に座る人が「コホン」とわざとらしく咳払いをした。そして皆の視線はその人の方へ。
なんかこの声聞き覚えが·····
「取り込み中に悪い。だが、そろそろこの学園の説明なんかをしたいんだがな」
「あぁ、ごめん、ごめん。初幸」
「初幸君?」
僕は理事長席に座る人を改めて見る。さっきは窓から入る光が逆光になっていてよく見えなかったが、理事長席の横にいる今ならよく見える。その人物は確かに初幸君だった。
「あ、初幸君だ。そういえばお母さんが初幸君のとこって言ってたけど、こういうことだったんだね」
そう言って、初幸君に近づく。
「よう、藤華、三日ぶりくらいくらいか?」
そう言って笑い掛けてくれるので、僕もそれに応えて
「そうだね。初幸君との時間が増えるのも嬉しいよ」
と、微笑み掛けて言う。
初幸君は天兄と萌姉の同級生兼天兄の親友だ。家族ぐるみの関係でもあって、僕と奈緒も小さい頃よく遊んでもらった。今でもよく会う
初幸君は黒髪黒目の男前という感じのイケメンさんだ。
「ほんとお前には適わねぇな」
初幸君が何かをボソッと呟いた。その呟きは僕には聞こえなかった。でも、照れているのは分かった。耳が赤く染まっているからだ。
そこで、奈緒に声を掛けられた。
「皆様、そろそろ本題に入られてはいかがでしょうか。夏樹さんが混乱しておられます」
そう言うので、ソファーに座る夏樹君を見てみると、夏樹君はおろおろとこちらの様子を伺っていた。
「そうだな。そろそろ本題に入るか。でもその前に自己紹介が先だ」
初幸君はそう言い、自己紹介を始める。
「俺は橋円寺 初幸(きょうえんじ はつゆき)。この学園の理事長だ。よろしくな」
天兄もそれに続けて
「俺は佐々浪 天(さざなみ そら)。藤華の兄で、この学園の理事長の秘書をしているんだ。よろしくね」
そう夏樹君に自己紹介をした。
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