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それに対して夏樹君も
「俺は宮古 夏樹だ!·····です。よろしくな!·····お願いします」
そう言って、頭を下げた。
さっきから思ってたけど、夏樹君って·····
そんなことを考えていると、初幸君が「じゃあこの学園のことについて話すぞ」と言うので意識を初幸君に向け、ソファーに座る。
「まず、この学園は──と、こんな感じだ。解らないことは有るか?」
そう初幸君が聞くので僕は「ないよ」と答えた。二人もなかったようで何も言わない。
「で、このカードはこの学園でのキャッシュカードみたいな役割りをする物だ。無くすなよ」
そう言って、カードを渡してくれる。そして僕はふと、あることに気付く。
「ねぇ、初幸君。僕のだけ色が違うけど」
そう言って、カードを見せる。
「あぁ、首席だからな。色々特別待遇があるんだ。一人部屋とか、学費免除とかな。詳しくは学園ホームページの特待生・首席の特別待遇についてってページで見ておけ」
「うん、分かった。」
後で見ておこう。
その話が終わった途端、初幸君と天兄の表情が暗いものに変わった。そして、初幸君が重苦しい雰囲気のまま、口を開いた。
「で、だ。ここからが一番大事な話になる。この学園は初等部から大学院まであって、エスカレーター式だ。そして中等部から全寮制。つまり、思春期を男ばかりの環境で暮らすことになる。だから、その、そういう対象も自然と、な。その」
珍しく初幸君の歯切れが悪い。でも、初幸君の話を察するに、つまりは
「つまり、同性愛者が多いってこと?」
「そうだ」
僕がそう言うと初幸君が暗い表情のまま肯定する。
「そんなに深刻そうに言うってことは、何かあるの?」
「あぁ。今では減ったが、制裁と称して強姦する奴らなんかがいてな。親衛隊って言ってな。それでなくても、顔の良い生徒を強姦しようとする奴らもいる」
それを聞いて、どうしてあんなに暗かったか分かった。
そうか、心配だったんだ。
「そう言うことだったんだ。心配してくれてるんでしょ?」
そう言うと初幸君達は、ホッとした顔をしていた。
やっぱりそうだ。
そして僕は言葉を続ける。
「奈緒を」
「そう·····って、は!?」
初幸君達や奈緒、夏樹君までもが驚いた顔をした。
「いや、確かに奈緒も心配だぞ?だけどな、なんで奈緒『だけ』なんだよ」
「え?だって奈緒美形さんだし·····あ、そっか、そういうことか」
そう言うとまたも、安心した顔をする。
「夏樹君だね」
「ちがーう!!」
そう言うとその場にいる皆が、一斉に立って食い気味に否定してくる。
「だいたい何で俺なんだ!?」
そう聞いてくるので僕は
「だって夏樹君、変装してるでしょ?」
そう言った。
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