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すると夏樹君は
「な、なななな何でそれを!?」
と、慌てた様子で立ち上がる。
「最初に会った時からなんとなく、かな。その髪どう見ても鬘だし」
そう言うと落ち着いたのか、夏樹君はまたソファーに腰掛け、メガネと鬘をとった。すると、白みがかった灰色の髪に灰色の瞳の美少年が現れた。
「とって良いの?」
「ん?あぁ、もうばれたしな。変装したのも姉さんにその方が良いって言われたからだしな。あと、絶対ばれるなって」
そう言って鞄に鬘とメガネをしまう。
それは本当に良いのだろうか。
とも思ったが、僕は
「そうなんだね。でも僕は変装していない時の方が良いと思うよ」
そう言って笑い掛ける。すると、夏樹君は頬を赤くする。
「夏樹君、顔赤いよ。大丈夫?」
「だ、大丈夫だ!!」
「本当に?」
「あ、あぁ!」
そう言って、顔を背ける。
本当に大丈夫かな?
そして、その考えを断ち切る様に奈緒が「とにかく」と、少し大きめの声で話し出す。
「そういうことに気をつければ宜しいんですね」
「あぁ、美形じゃなくてもそういう被害にあってる奴はいる。だから、藤華も気をつけろよ」
「分かった」
そう言って、この話を終わらせる。
「じゃあ次は、お前らの担任と副担任のところに顔出してこい。外で待ってる三澤が案内してくれるはずだ」
「うん、分かった。ありがとう」
そう言ってソファーから立ち上がる。そして、理事長室の扉を開け、外で待ってくれている三澤先輩に声を掛ける。
「お待たせしました。三澤先輩」
「いえ、次は職員室ですよね。案内します。」
そう言って微笑んでくれる。本当の笑顔を向けられ、嬉しくなり、つい、僕も微笑んでしまう。すると奈緒に腕を引かれてしまう。
「藤華様、早く行きましょう」
「あ、うん」
なんだか三澤先輩と奈緒の間に火花が飛び散っているようだった。
「では行きましょうか。職員室はこちらです」
そう言って歩き出す三澤先輩に着いて行く。
数分後、ようやく職員室に着いた。理事長室は最上階だったので、結構時間がかかった。
というか、今更だけど夏樹君が変装といてるのに三澤先輩何も言わない。やっぱりばれてたのかな?
「ここが職員室です。藤華達はSクラスですよね。担任と副担任を連れてきますので、少し待っていて下さい」
そう言って職員室の中に入って行く三澤先輩。
程なくして、二人の教員を連れてきた。一人は明るい茶髪に赤い瞳のイケメンだ。服を着崩していて、とても教師とは思えない身なりをしていた。そして、もう一人は茶髪に碧眼のニコニコしている人だった。この人も美形の類の人だ。
そのあと、三澤先輩は生徒会の仕事があるから、と帰って行った
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