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隠してること、と言ったところでマサの目が泳いだのを、おれは見逃さなかった。
「……なんのことだか」
言い終わらないうちに、おれはマサの襟元をつかんで、強引に引っぱり上げた。
「くそっ」
たちまちマサが反撃してきた。パンチを際どいところでかわす。次のパンチもかわして、三発目。腕でいなした。そのままマサの腕をかかえ、一本背負い。床にマサをたたきつけた。ぐえっ、とうめきながらも、体をころがして逃げようとする。馬乗りになった。うつぶせになったマサの腕をうしろにひねる。
「いてえっ」
「さあ、吐いてもらおうか、隠してることを」
「な……なんのこと……がああ」
おれはマサの腕を持った手に力をこめる。
「ひとり占めしようったって、そうはいかねえ。このヤマ、ドジってみろ。てめえがエンコ(指)詰めるぐらいじゃ済まねえんだよ。さあ、吐け」
「くそっ、誰がっ」
強情な野郎だ。
「立て」
おれはうしろ手を決めたまま、マサを立たせた。
「いててて」
「妙な気を起こしてみろ。腕ぇへし折るぞ」
「いつかぶっ殺したる」
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