一日目の酒

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

一日目の酒

次の日。旅人がバーに行くと、私はすぐにお酒を渡した。名前は「ウォッカマティーニ」 「ロシア産地の穀物で作られた無味無臭の蒸留酒です。」私はかすかにふるえている声を発した。旅人はそれを一気に飲み干した。匂いなんて全くなく、味も少し苦いような甘いような味が口の中で共鳴した。 するとまるで頭に流れ込んでくるように旅人の視界がいきなり変わった。 そこは寒い雪山の頂上のような殺風景な光景だった。 そしてものすごい速さで吹雪を繰り返していた。だが自然に旅人は怖くは思わず、くいいるように見つめていた。すると加速したように朝と夜がものすごい速さで切り替わり、さっきまで積もってた雪が逆戻りのように溶けていった。 「カクテル言葉は”選択”です。」そう言われた旅人はふと我に返った。そしてすぐにここがバーだと気づく。「どうかこれからの選択、後悔しないように 生きてください。」 「あ、ああ...」寝ぼけたような返事をした旅人はそのままさっきの光景を思い出しながらバーを出て行った。その後姿を見送りながら、次のお酒を造り始めていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!