第一話. オールド・ラング・サイン

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 そんな思いを込めて、先ほど類が読んでいた新聞につと律は目を遣った。そのついでに満足げに頷く美青年の表情がちらりと視界に入る。 「うんうん、大正解」 「……あの、類さん。それはともかく」 「うん?」 「何でしょうか、その生暖かい微笑みは」  律が恐る恐る問いかけると、類は更に頬を緩めて立ち上がった。 「いや、流石は私だと思ってね」 「はい?」  突然類の口から飛び出た自画自賛の言葉に、律は戸惑って二、三度瞬きをした。類は顎に手を当てながら律へと歩を詰め、その服装を上から下までざっと眺めてから満足げに頷く。 「やっぱり君にはそれが似合ってる」 「あ、着物のことですか」  律は自分の着ている着物を見下ろす。慣れない格好をしているからかどことなく不安にかられ、律は意味もなくぱたぱたと着物の表面をはらった。
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