正直に話してみた

1/1

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ

正直に話してみた

 それから数か月後。皆で外出をする機会があった。  幸い島田はいなかったので、私は参加した。   外出の時、島田は9割の確率で来てしまうので、私は参加することが少なく、これが2回目の参加だった。  さてさて。この日のの参加者は職員の太田さんと東さん、利用者の火村さんと石沢さん、そして私だった。  電車の中、職員さんは利用者さんを優先的に座席に座らせてくれたので、火村さんと石沢さんと私で座席に座り、女子トークをしていた。  その時に私は思い切って、 「実は私、島田さんが苦手なんですよ」   と話してしまったのだ。    すると石沢さんはこう返した。 「それ、みんな同じですから」  私は 「やっぱりそうですか」  と返した。 「あの人なんか偉そうで、そこが嫌なんですよね」  私が言うと、 「あのね、火村さんなんて島田さんに、“うるさい!”って怒鳴られたことがあるんだよ」  石沢さんはそう言った。更に、 「私は島田さんが入ったばかりの頃に大喧嘩したことがあって、それからあちらからは話しかけてこないけどね」  と話してくれた。  また更に石沢さんは言う。 「雷中さん、カラオケってまだ参加したことなかった、よね?」  私は 「はい。いつも島田さんがいたから」  と言うと、 「参加しなくて良かったですよ。  島田さんの歌、どんな感じか知ってます???  もう、すごいですよー……  叫ぶんですよ、絶叫するんですよ」  すると火村さんが口を開き、 「テンション上がると踊り始めるよね」  と加えた。 「そうそう!なんか、スイッチ入っちゃうのかなー…」  そんなことを言った。 「だけどね、カラオケも参加人数多ければ、じゃんけんで部屋を分けるの。  職員さんに島田さんが苦手ってことを話しておけば、同じ部屋にならないように配慮してもらえるかもしれないよ?」  石沢さんはそう助言してくれた。 「そうですか…!?じゃあ私、カラオケも参加してみます」  私は新たなプログラム参加の可能性に、目を輝かせた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加