珍プレー

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珍プレー

 それからは私もカラオケに参加するようになった。参加者が6人以上であれば部屋を分けることが可能と、太田さんが言ってくれたからだ。 「今日は男子と女子グループで」  と、さりげなく分けてくれる。  カラオケには石沢さんと火村さん、本多さんと職員さん、そして島田がよく参加していた。  そこに私が加われば、きれいに部屋が分かれる。  カラオケにはだいたい職員の東さんが同行してくれたため、当時は部屋わけもスムーズに行った。  島田は様々な珍プレーを見せていた。  パソコンプログラムが開始する前、 「N〇Kから何度もメールが届いてむかつくから、これからクレーム電話入れます」  と、事業所内で電話をかけ始めたのだ。  せめて外に行け、と思ったが、そんな気を遣う人ではない、この人は。  島田はクレーム電話を入れてヒートアップして、事業所内で大声で文句を垂れ流す。  すると別の場所に電話しろと言われたらしく、次はそこにかけてしまった。  島田が大声でクレーム電話をしているもんだから、プログラムが開始できなく、この日はプログラムスタートが大幅に遅れてしまった。  そして職員はなぜか誰も注意をしない。いや、怖くてできないだけだろうが。  更にこの事業所、お弁当が出るのだが、島田はなぜか積極的に割り箸を渡していた。  しかも口をつけるほうに手で触れているのだ。  なので私は割り箸を毎回拭いており、挙句は自分のお箸を持参するようになった。  で、島田は毎回調理実習にも参加している。そして積極的に野菜や肉を切っている。  因みに手袋なんてしませんから、素手ですよ。手を洗ってはいるらしいが、なんだか気持ち悪い。次第に私は、島田が参加する時は調理実習に参加しなくなってしまった。
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