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怒られた話
翌日事業所に行ったら、速攻野高に呼び出しを食らった。
「ちょっと来て」
と言われて、嫌な予感がした。
面談室には怒った表情の野高と、泣きそうな顔をした角がいた。
「あのさぁ、私のことが不満なら相談員変更は役場でできるから!
気に食わないんなら、いつでも変えてもらっていいから!!」
野高は突然ケンカ腰な口調でそう言ってきた。
「それから、この前雷中さんがパットを片付けたことね!!
あれ、嫌ならなんですぐに角さんに言わなかったの!??」
「言いにくかったからです」
「角さんはね、毎週末ちゃんとひとりでトイレ掃除してるのよ!!!
トイレが汚かったのって、先週からって話してたけど、本当なの!??」
「先週木曜日からトイレは汚く、なんだか臭かったので、既に尿取りパットもあったと思いますし、たぶん冬田さんのだと思います」
「あのさぁ、雷中さんがパット片付けた週は冬田さんいなかったでしょ!!!
冬田さん以外の女性利用者がやったんでしょ!!!」
「いえ、これまであんなことなかったので、冬田さんだと思います」
「冬田さんはその掃除した週は来てないでしょ!!!なんでそう決めつけるの!」
「だから、掃除する前の週の木曜日からトイレが汚かったので…」
「だから、角さんは毎週末ちゃんとトイレ掃除してるって言ってるでしょ!!!
もし冬田さんのものなら、角さんがとっくに見つけて処理してるはずよ!!!」
野高は怒ったように問い詰める。
「いえ、木曜日からトイレは汚かったし臭かったです。それならほかの女性利用者さんにも聞いてみてください」
そう言うと野高は、
「あのさ。
角さん掃除してないなんて思ってるみたいだけど。
その週末って、角さん出勤していたのかな?」
なんて言い始めた。
「え、覚えてません……」
職員はたまに休暇を取っており、もしくは系列の事業所にヘルプに行くこともあったので、職員の出勤をいちいち覚えてはいない。
「あのさ、その週末、角さん休んでたんじゃない!??
だから週末にトイレ掃除ができなかったんじゃないの!??」
野高がそういうので、私は
「…あ。そうかもしれませんね……」
と答えた。
角はずっと泣きそうな顔をして、私の方を見ていた。
完全に私が悪者扱いじゃないか。
それに役場も、「言いませんから」と言いながら、速攻言ったのかぃ!!!
…まぁ、虐待疑惑ということで事実確認をしたのかもしれませんが。
が。
仮に週末いなくとも、床が汚れていた木曜日は出勤していたわけだから、せめて汚れた床だけでも掃除することできなかったのか?角は。
野高は、角は週末出勤していなかった、なんてほざいていたが、それならそうと角が言うはずだ。
やはりおかしい。
そんな発言したのは苦肉の策で、私も流されて「そうかもしれませんね」なんて言ってしまったが、粘っておけば良かったかな、
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