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事業所の日々
調理実習で作るものは、皆で事前に話し合いをして決めるという。
本登録して初めての調理実習では、主菜も副菜も私が案を出したものが最終的に決定した。今でも覚えている。チーズトマトソースハンバーグとほうれん草の胡麻和えだった。
皆でわいわい買い出しに行き、調理実習もわいわい楽しくできる。ちょっと包丁を使ってみると「上手ですね」と褒めて頂ける。
出来上がったものを皆で食べる楽しさ。なんだか学生時代のようで新鮮だった。
もっとも私は「ぼっち」でいることも多かったので、こんなわいわい過ごすことはあまりなかったけれどー……
プログラムの中には利用者同士でちょっとした悩み相談をする内容のものもあった。色んな人と色んなお話をして行けたら良いな、と思っていた。
時々外出プログラムもあるし、年に1回、宿泊を兼ねた旅行もあるんだって!私は胸が弾んでいた。
プログラムは全部参加して、外出も旅行も行きたい!そう思っていた。当時は毎日が楽しかった。通所してまだ1ヶ月の頃までは。
1ヶ月経てば、利用者の本質が見えてくる。
1人、嫌な感じの利用者がいた。島田さんという男性だ。
女性陣で話をしていた時、インスタグラムの話となり、「私もインスタやってるんですよ」と、ちょっと投稿しているページを見せた。すると島田さんが、
「インスタやってるんですか?」
と後ろからのぞき込んできた。私は慌てて隠した。
『アカウント見られなかったよね…?』
心の中でそう思い、
「やってますけど私、ここの人とは繫がるつもりありませんから」
と塩対応をした。
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