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職員への最初の疑問
その翌日。私は相談員の野高さんと、職員の角さんに面談室に呼ばれた。
野高さんが、私がもらったメモを出す。
そして角さんが、無表情でこんなことを言った。
「ここでは利用者同士の個人的なやり取りは基本禁止、と前にお話しさせていただきましたよね?」
目を冷たく光らせながら、そういった。
「はい。それは承知しております。けれどもとっさのことで対応できなくて…」
私がそういうと、
「あのさ、これ私たちがいない場所で起こったんだよね?」
と野高さんが言った。
「はい。だからこれを渡されたんだと思います…
今日もなんか、ずっとちらちらこっちを見てきて。
それで、注意していただくことって可能でしょうか?」
すると野高さんは、
「これはねー、私たちが見ていないところで起こったから、私たちが注意することってできないんだよねー???
だけどねー、雷中さんがこのメモを受け取ったのに連絡してこないとなると、島田さんの中で、“どうしてメモを受け取ったのに連絡して来ないんだ”って感情がどんどん膨らんじゃうと思うんだよねー。
だからさー、雷中さんが連絡取り合いたくないのなら、それを直接本人に言ってもらいたいんだよねー。
…できるかなー???」
え…???なんだこの対応。
昔の職場でストーカー事件が起きたことがあるが、上の人は本人呼び出して厳重注意してたぞ???
というか私が介護職やっていた頃も、当然利用者同士の問題が発生したが、その人たちが関わらないで済むような工夫をしていたし、場合によっては利用者本人にチーフやリーダーが注意してたぞ???
「ちょっと…それは怖いです」
というが、職員から注意することはできない、と言われた。
角からは
「ここは、色んな人との関わりを学ぶ場ですから」
と上から目線で冷たく言い放つ。
結局私は島田からもらったメモに、
『私はここの利用者と個人的なやり取りをするつもりはありません』
と書いて、帰り際に島田に渡し、ダッシュで帰宅する、なんて手法に出た。
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