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君の名は?
──目が覚めるとボクは、見知らぬ世界にいた。
空は紅く染まり──漆黒に朽ち果てた木々からは、まるで生命力を感じない。……ヒビ割れた大地がどこまでも続くこの景色を見ても、こちらの世界の文明は、かなり発達が遅れているらしい。
ボクはここでさまざまな発明、発案をくり返し、ついには国王の側近にまで成り上がった。
なぜか腕っぷしも数百倍にパワーアップしているし、女の子にはモテモテのハーレム状態で──なんてことはなく……。
あの大型トラックは、ボクの目の前で停止していた。
──いや、何者かによって動きを封じられたのだ。
視線を下に降ろすと、小さな女の子が片手でトラックを受け止めていた。
「──あの、おケガはないですか?」
こっちのセリフだ。
「よかった……大丈夫そうですね。あなたにもしものことがあったら……」
少女が小さく、そう呟く。
ボクにはその意味が理解できなかった。
「あ、申し遅れました。わたし……“マオ”というものです」
──マオ。彼女はたしかに、そう名乗った。
これが生まれ変わり……というやつなのだろうか? お前はもう、着替えを済ませたのか──。
「ちょっとお話、よろしいですか……?」
彼女が眉を下げる。
……とにかく、わからないことだらけだ。頭が混乱してしょうがない。
だけど──ボクには断る理由なんてなかった。
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