07 コーダ

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 支部に戻ってからもずっと、呆けたように座ったままのサンライズが気になって、ボビーは彼のデスク脇に寄ってみた。 「だいじょうぶですか? リーダー」 「うん」  座り方からして、少しもだいじょうぶそうではない。  席にもどると、シヴァが心配そうにつついてきた。 「リーダー、元気ないよ」 「分かってるわ」 「キサラギ、呼んでこようか」  とうとうシヴァにも呼び捨てにされているキサラギ・ユウスケだった。 「いいわよ、必要ない」  少し様子をみていたが、やはり、動きがない。  ボビーは声に出ないようにため息をひとつ。  そしてまた書類に向かった。  シヴァはひとりで、作戦課に行ってみた。 「シヴァちゃん」  メイさんが半分立ち上がって手を振る。 「やっぱり作戦課に戻ってきてくれたんだにゃ」 「キサラギ、見に来た」 「なあんだ」  メイさんは座りなおして、また作業に没頭した。  キサラギの机の上に、大きなメモが貼ってあった。  『作戦課キサラギ・ユウスケは、只今26日まで有給休暇消化中です   捜さないでください。一応新婚旅行中』  シヴァ、ちっ、と舌打ちする。肝心な時に居ない。  だれかがイタズラで、脇にマジックで書き足してあった。 『御用の方は、モルディブ・ミリヒ・アイランド・リゾートへ』  電話番号まで添えてあった。  一応、メモに控えたが急に馬鹿らしくなってカフェテリアに向かう。  その途中、総務部庶務課に立ち寄って、作業用CDを数枚とデッキの貸出願いを出した。 「BGMに使う? どんなのがいい?」 「何でも。静かな感じで何枚かとりつくろって」 「みつくろう、だよ、シヴァちゃん」 「なんでもいい、みっつクロウして」 「苦労は一つで十分だよ」  申込者欄に、サンライズの名を入れて、自分はさっさと珈琲を飲みに出かけた。
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