主砲の矜持

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そして迎えた今年のシーズン。 シーズン通して絶不調の清武は、残り試合10試合でホームラン数が22本とホームラン王争いでは、神宮を拠点とするカルピコスパイダースのイタリア人助っ人ペペネーロの40本に大きく遅れをとっている。 残り試合10試合で18本差なので、清武の9年連続ホームラン王はもはや絶望的だ。 チームの方も、ここ数年クライマックスシリーズへの出場権を逃したことはなかったのに、こちらも残り10試合で4位。出場権のある3位とのゲーム差は6。既に自力での3位確保の可能性は消えていて、こちらもほぼ絶望的。 そんな中迎えた今夜の試合、水道橋ドームの試合も負けた。 3位のチームが勝ったため、残り9試合で7ゲーム差に開いた。3位のチームとラビッツは直接対決で負け越しているので、ラビッツが残り試合全勝しても、3位のチームが残り9試合で2勝した時点で勝率で並んでも4位確定。しかも3位のチームの残り試合9試合中6試合は最下位のチームとのゲーム。 方やラビッツは雨天延期の関係から、残り試合は、翌日の試合がホーム最終戦で、残りは全て遠征。しかも相手は首位と2位のと試合ばかり。 事実上、もう“詰んで”いる。 一方、スタメン4番ファーストの清武も3タコで、途中7回にケニーを代打に出されて交代。 試合後、スコアボードに表示された【他球場の結果途中経過】で3位のチームの勝利を知り、私はライトスタンドから、負けた腹いせに、周りのみんなと一緒になってヤジっていた。 「清武、お前は4番失格だ!」と。 そして意気消沈しながらの帰り道。 スマホのニュースアプリから、ブブッとの振動とともに速報の文字がポップアップ。 「清武、今シーズン限りで引退」
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