主砲の矜持

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私はプロ野球が好きだ。 中でも、球界の盟主である東京ラビッツの大ファンで、水道橋ドームのライトスタンドは、第二の我が家でもある。 今年大学一年生の私が、初めてお父さんに連れられて水道橋ドームに来たのは9年前の、私がまだ小学生の頃。 その頃は野球をじっくり見たいお父さんが買った内野スタンドの席で見てた。 でもある時から、このライトスタンドが私の定位置になった。 そのきっかけは…。 ラビッツの第82代4番バッター、清武孝二郎のホームランを目の当たりにしてから。 その当時、女の子ながらに少年野球チームに所属していた私は、その清武の描くアーチの美しさに目を奪われ、それ以来そのアーチの飛び込むライトスタンドで、メガホンを叩いて応援歌を歌いながら、清武のホームランが飛び込むのを待つことが一番の楽しみになった。 しかも過去一度だけ、そのホームランボール争奪戦に勝ち、それを手にしたこともある。 清武は決してカッコいい顔立ちではない。どっちかっていうと、ガマガエルの擬人化みたいな顔立ちだ。しかもどちらかというと、わがままボディ。 なので、ホームランアーティストとして球界を代表する選手なのに、イケメン選手を女子目線で紹介することで定評のある、女子向けのプロ野球雑誌『プロ野球アイズ』にはほとんど取り上げられたことがない。 だから私は、清武の記事を読むために、女子向けのその雑誌ではなく、はたまた、スポーツ好きの意識高い系が買う『Nandeya』でもなく、主にオジサンが買う野球雑誌の金字塔『週刊プレイボール』の愛読者となってしまった。 あ、もちろん球団の機関紙でもある、系列出版社から出てる『月刊兎道』(“とどう”と読むらしい。私も最近まで“ウサギみち”だと思ってた)は、毎月自宅に届くように定期購読してるんだけどね。
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